今回は、「組織」とは何か、という質問から始めさせていただく。
「組織」とは、集団に、規範(ルール)と目的を与えたものである。会社にしろ、非営利団体にしろ、官公庁にしろ、政治家の派閥にしろ、それぞれの組織には、集団の構成員が従わなければならないルールがあり、共通の目的に向かって協働作業を行う。
逆に、組織から規範と目的をとれば、ただわけもなく集まっているだけの集団、すなわち烏合の衆である。
「組織」が作られなければならない理由は、言うまでもなく、一人では達成できない目的を掲げているからであり、なんらかの役割分担の下で、繰り返すが、協働作業を行うためである。
ただ、協働作業を行う場合、人それぞれの個性(その人特有の思考・行動パターン)というものがあり、協働すべき他の人々と合う、合わない、すなわち相性の良し悪しという問題が常につきまとう。
単に好き嫌いのレベルであればいいのだが、相性の悪い人と組んだばかりに、仕事がうまくいかない、能率が上がらない、病気になってしまって休みがちになる、という事態になると、企業としては大問題である。
ところが、多くの企業は、各社員の従業員の年齢や保有するスキルを基準として組織を構しており、もっとも生産性が高く、また安定した職場環境を生み出すための、最適な社員同士の組み合わせはどうあるべきか、を考慮することがほとんどない。
協働によって、仕事を成し遂げようとするのが組織である以上、最適な社員間の組み合わせを実現し、コントロールすること、すなわちコンビネーション・マネジメントが不可欠であるにも関わらずだ。
企業がコンビネーション・マネジメントの考え方をしないのは、多くの場合、組み合わせの方法論を持ち合わせていないのが現実だと思うが、次回、この組み合わせの方法論として有力な、また実に面白い理論「FFS理論」*を紹介する。
乞うご期待!
*「FFS理論」は、組織心理学者小林恵智氏が開発した方法論である。なお、「コンビネーション・マネジメント」も小林氏が提唱する経営概念である。
FFS理論について来週まで待てない方は下記URLを参照されたい。
http://www.inter-vision.co.jp/
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