Weekly Matsuoty 2001/01/09
『人』の時代、『心』の時代
 
 ブラウザーが開発され、本格的なインターネットの普及が始まった94年頃からインターネットを始めた人々、またそれ以前からパソコン通信を熱心にやっていた人々、すなわち、オンライン・コミュニケーションに取り組んでいた人々は今、各業界で変革をリードする立場となっている。

 一方、オンラインに没頭しているヤツは「ネクラ」、「クライ」といった先入観を持っていた人々、あるいは、オンライン・コミュニケーションが今後大きく社会を変えてしまう力を持っていることに気付かず、ぼーっとして毎日を過ごしてきた人々は、今とても苦労している。インターネット革命後の環境にうまく適応できず、もがき苦しんでいるのだ。

 私が言いたいことは、現在の環境にうまく適応するためには、変化の予兆を早めに察知して、変化が現実のものとなるはるか以前から適応行動を起こしている必要がある、ということだ。つまり変化を先取りして、自分自身の知識やスキルをその変化に対応できるように方向づける、ということである。

 では、イノベーターマインドを持つ人々には既に見えている、次に起きる変化を示すキーワードは何だろうか?

 それは「人」あるいは「心」である。

 自然現象の原理の解明は日々進展しているし、遺伝子工学の進展により、遺伝子の謎もほどなく解明されてしまうだろう。しかし、それでも依然として解明困難であり予測困難でありつづけるのは、遺伝子レベルまで分解されてしまった物質レベルの人ではなく、全体としての「人」であり、その「人」が持つ「心」である。

 大抵のことがわかってしまう未来において、「人」「心」を理解することが、社会やビジネス活動において重要になってくる、ということだ。

 では、「人」「心」が重視される未来に適応するための知識・スキルは?

 知識で言えば、「社会心理学」「認知心理学」「行動科学」、そして「歴史」「哲学」である。スキルは日々の経験の中から体得するものであるが、その機会には事欠かない。あなたが日々接するあらゆる人々全てがその相手だからだ。

 次に来る未来、それは「人」の時代、「心」の時代である。備えあれ!
 
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