Weekly Matsuoty 2004/05/17
与えることは奪うこと
 
悩みや問題を抱えている友人から相談を受け た時、できるだけのサポートをしてあげたい と思う。

しかし、安易な気持ちでアドバイスしてしま わないよう注意したい。生きていく過程で人 は様々な困難にぶつかり、悩むことになるが、 それは人間として成長する絶好の機会である。

人は、自分でとことん考え抜き、納得できる 答えを自ら見出すことを通じて、心の成長を みる。

大人になれば、身体的な成長は止まるが、心 は一生成長し続ける。そして、心が成長する ための栄養は、自分に降りかかってくる、大 きな課題や問題なのである。

だから、友人から相談を受けた時、自分が答 えを知っているからといって、簡単に与えて しまったら、彼・彼女の心の成長を奪うこと になる。

つまり、「与えることが奪うこと」になって しまう。

むしろ、友人(また、部下や自分の子供も) に対して、周囲の人間がやるべきことは、 暖かい心でそばにいてあげること、自分で答 えを見つけることができるような対話と支援 を行うことだろう。

コーチングの根本的な考え方は、「答えは本 人の中にある」「答えは本人が持っている」 というものであるが、これはコーチングを実 践するかどうかに関わらず、人生の真理だと 思う。

「与えることが奪うこと」にならないよう、 このことを深く心に刻んでおきたい。
 
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