「知価社会」というのは新しいコンセプトで
も何でもないが、それが現実のものとなった
のが現代だろう。
持っている知識の量、質、あるいは知識の入
手スピードの良し悪しによって、ビジネスの
勝負が決まってしまう。
行動することの重要性は依然として変わらな
いのだが、闇雲に動くのではなく、しっかり
とした知識に基づいて行動しないと、行動力
に加えて知識を駆使するライバルに先を越さ
れてしまうのである。
ただし、知識もまた、闇雲に蓄積しようとす
るのでは無駄が多い。というか時間がもった
いない。我々の頭はコンピュータではない。
百科事典のCDを購入してきてインストールす
れば、知識がたちまち増えるというものでは
ない。知識は、たっぷりと時間をかけ、本、
セミナー、人とのガチンコ交流などを通じて
蓄積していくしかない。
そして、知識を獲得するに当たっては、まず
「知るということのレベル」を知っておいた
方がいいだろう。それは、6段階*ある。
1 知ることとは、自分の中をくぐった(一
時的に手持ちの)情報(フロー)が増えるこ
と
2 知ることとは、自分の知識ベース(スト
ック)に変化が起こること
3 知ることとは、その気になれば、そのこ
とをほかのひとに教えることができること
4 知ることとは、知る前と知った後で、世
界の見え方が変わってくること
5 知って本当に理解することとは、自分が
変わること
6 知って身につくということは、その知識
を使って、怖がらずに自分や自分が属するシ
ステムを変えてみようとすること
この6段階を進んでいくということは、いわ
ば知的プロフェッショナルとなる道筋であり、
その最終ゴールは、変革を起こせるだけのパ
ワーを獲得することである。
すべての分野でこのレベルに達することは難
しい。、あなたが最も好きな分野、我を忘れ
て打ち込める分野を探し出し、そこにたっぷ
りと時間を金を注ぎ込むことだ。
*「組織行動の考え方」より
金井壽宏、高橋潔著、東洋経済新報社
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