Weekly Matsuoty 2004/06/28
キャリアを考えるための出発点
 
人の本能には3つある。「性欲」「食欲」ま では簡単に思い浮かぶだろう。では、あと1 つは何かご存知だろうか?(私は、最近まで 知らなかった。)

それは、「集団欲」である。他人と愛し合い されたい、群れていたい、つながっていたい という欲求である。

群れを作って行動するのは人だけではないが、 おそらく、「集団欲」が最も強いのが人とい う生物だろう。

さて、人は、「集団欲」を満たすために、社 会の中での居場所を確保しようとする。それ は、自分の存在価値を見出そうとすることで ある。

では、社会の中での「存在価値」はどのよう な場合に見出せるのか。その答えはシンプル だ。

あなたが、社会に対してなんらか役に立つ行 動をしている時、周囲があなたの存在価値を 認めてくれるのである。つまり、自分の価値 を認めてくれる相手がいて、初めて存在価値 が生じるのだ。(もちろん、あくまで社会の 中での存在価値であって、生命そのものの尊 さを否定しているわけでない)

このような考えに立つ時、自分の人生におい て大きな時間を占める「職業生活」、すなわ ち「キャリア」を考えるための出発点になる べき質問は、

「自分は、社会に対してどんな役に立てるの だろうか?」

ではないかと、最近考え始めている。

自分が社会に役に立てることが、自分の好き なことであり、また得意なことであればなお 良いが、人は運命に翻弄されるものである。 常に恵まれたキャリアを送れるとは限らない。

しかし、キャリア的には不遇と思える時であ ったとしても、自分は社会に対してなんらか の貢献ができているという確信が持てるのな ら、その仕事は、あなたにとって大いに意味 のあるキャリアであり、つらくとも充実した 毎日が送れるのではないだろうか。

なお、あなたの仕事が、社会に対する貢献が ダイレクトに見えるような人道的なものでな いにしても、まっとうな仕事に汗を流して、 お金をもらえているのなら、それは社会に対 して間違いなく役に立っているということを 補足しておきたい。

「社会に対して役に立っているかどうか」が 大事などというのは、いまさら当たり前のこ とで、ナイーブな議論だと言われてしまうか も知れない。

しかし、この大事なことの理解が、学校教育 では十分に行われていないように思うし、ま た社会を見回してみても、我欲を振り回して、 莫大な資産を築いたものの、その過程で人と のつながりを失い、孤独感・疎外感に苦しん でいる人を見るにつけ、こうした基本的なこ とを再考する必要性があると感じる・・・
 
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