Weekly Matsuoty 2000/04/04
WEBプロデューサーの役割とは
 
 昔、WEBマスターと呼ばれる人がいた。今でもそう呼ばれる人がいることにはいるが、おそらくシステム部門に所属する人で、WEBに関する権限がいまだに技術系ラインに残っている会社だろう。

 現在、WEBはビジネスそのものである。そうなる以前の、いわゆるWEBの面倒を見るWEBマスターの仕事はWEBサーバーという情報システムの管理だけであった。WEB上に掲示する情報は、各部門からの寄せ集め をただ言われるがままにHTML化しただけで済んだ。

 しかし、現在WEBはビジネスそのもの、言い換えると、ひとつの事業体である。そうなると、この事業体を束ねる人間が必要である。この人間を「WEBプロデューサー」と呼ぼう。では、「WEBプロデューサー」の役割は何か?

 まず、WEBとは、ここにアクセスしてくるエンドユーザーとの接点であり、コミュニケーションの出発点であるとの認識に立ち、Eメールとの一貫性、マスメディアとの一貫性を維持する「コミュニケーションマスター」としての役割が求められる。要はマーケティングをWEB主体で統合する力を持たなければならない。

 次に、WEBとは、バリューチェーンの出発点でもあり、商品・サービスを紹介し、販売し、配送し、アフターサービスをする、という一連の流れを統合する役割が求められる。この役割では、社内の各部門(マーケティング、セールス、サービス、物流、経理等)を糾合するだけの力がないと、効率的・効果的なバリューチェーンを構築することができず、顧客をつなぎとめておくことができない。

 そして、もうひとつ、上記に述べた様々な業務は、インターネットを核とする情報システム上で遂行できることが必要であるため、現実の業務をシステム化するための形式、すなわち、システム設計書に落とせる力が求められる。

 こうして見ると、「WEBプロデューサー」とは会社全体の業務に関する広範囲な知識と、マーケティング、情報システムについての深い知識、ノウハウが同時に求められる極めて深い職種である。

 今、Eビジネスを展開しようとしている企業がのどから手が出るほど欲しいのが、こんな人材である。だが、これだけの力量を持っている人材はそんなにいるわけではない。このことに気付いた業界関係者は、「WEBプロデューサー」を養成する講座を開設し、Eビジネス実現のボトルネックとなっている人材不足を解消しようとする動きが見られるようになってきた。

 WEBプロデューサーの仕事は、とても大変である。がそれだけ面白いとも言える。やっていることは、まさに「経営」そのものだからだ。インターネットが当たり前になるこれからの時代、WEBプロデューサー志望の人がどんどん出てくることを望みたい。
 
close