「とにかく一番乗りになること」
これは、eビジネスで勝つための条件として真っ先に言われていたことだ。しかし、一番乗りが、いわゆる「先発者利益」を享受できた時代は終わった。
YahooやAmazonがサイトを立ち上げた頃、米国の大多数の人間にとっても、「インターネットってそもそもビジネスになるの?」というレベルだった。そんな頃から、どんどん後発者との距離を離していったからこそ、彼らの今日の圧倒的な地位がある。
今は違う。小企業から大企業まで、あらゆる業界のあらゆる企業が、最高の人材を投じてインターネットをビジネスにどう活かすかに知恵を絞っている。
このような状況ではかえって後発者の方が有利である。なぜなら新しいビジネスをゼロから創造するのはとても大変だからだ。
先発者が苦労して創造したビジネス、その仕組みを後発者はじっくりと研究し、先発者と明確な違いを出せるポイントを見出して、自社サービスを立ち上げる。これは、何も見えない状況で新たにビジネスを立ち上げるのに比べたら、はるかに容易で成功の確率が高いのである。
考えてみて欲しい。現在、日本のネットビジネスで成功事例として、あるいはユーザー評価の高いサイトとして紹介されることの多い、「楽天」「ビッダーズ」「bk1」といったサイトはすべて最後発に近いところから出発している。
彼らは、先発者の強み・弱みを研究し尽くして、明確な競争優位性を打ち出すことができているから、後発者でありながらトップポジションについた、あるいは狙える位置にいきなり浮上できたのだ。
約1年ほど前、One to Oneマーケティングの提唱者、ドン・ペパーズ氏との対談で彼が言ったことを思い出す。
「一番乗りが勝つのではない、優良顧客を獲得できた企業が勝つのだ」
優良顧客を獲得できる、最も優れたサービスを提供することは、先発者の失敗を客観的に分析・改善できる後発者に分がある。
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