Weekly Matsuoty 2001/01/30
WEBマーケティング: 21世紀最大の課題
 
 米カリフォルニア州の停電が問題になっているが、電力会社は膨大な設備投資と重い固定費が宿命である。貯蔵困難な「電力」という商品は、需要のピークを見越した供給力を常に確保しておかなければならないからだ。

 日本で言えば、真夏の甲子園の時期、大多数の日本人がクーラーを効かせた室内でテレビを見ている時、その時に停電が起きないようにするためには、平常時にはほとんど使われないで無駄になってしまう、過大な電力を常時提供できる体制が不可欠なのである。

 さて、あまり指摘する人がいないのが不思議なのだが、実はWEBサイトも電力会社と同じ宿命を背負っている。例えば、テレホーダイの始まる午後11時以降、季節で言えば、クリスマスシーズンなど、アクセスがピークとなる時期にサーバーダウンしないためには、平常には余力がありすぎてしまうほどの莫大なシステム投資が必要になる。

 ニューエコノミーを代表するWEBサイトが、実は重厚長大型企業と同じ問題を抱えてしまうというのは皮肉である。いや、もっと問題は深刻かも知れない。実際の店舗では、来店客があふれたら、客をうまく誘導して順番に入場させることができる。しかし、アクセス過多のECサイトで、ユーザーが遭遇するのは、「アクセス不能」「決済処理不能」といった、実質的な門前払いである。

 もちろん、サーバ負荷を分散させる様々な技術があるのだが、そう簡単ではないし、そのためにまた相応のコストがかかる。WEBサイトとは本質的にシステムによる自動接客、すなわちセルフサービス化を目指すものである以上、来店客数見込みに応じて、社員数を即座に柔軟にシフトさせるといったことはできないのだ。

 ではどうすればいいのか。

 需要の山をならすことしかない。つまり需要(アクセス時間・時期)を分散させ、できるだけ出っ張りを低くして平準化を図るのである。

 「需要の平準化」

 これこそがWEBマーケティングにおける21世紀最大の課題だと私は考えている。平準化の方策は、業種・業態によっていろいろと考えられる。ユーザー側の事情で、事業者側がコントロールするのが難しい場合もある。しかし、ともあれ需要の平準化のためにどんなことがやれるのかをとことん考え、実行に移す必要があるだろう。
 
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