「プロジェクトマネジメント」について書かれた本は、最近やたらと出版されており、書店ですぐに見つけることができる。しかし、「プロジェクトプランニング」について書かれた本はほとんど存在しない。現実には、「プロジェクトプランニング」の良否がプロジェクトマネジメントの成否、すなわち、プロジェクト自体の成功の鍵を握っているにも関わらず・・・。
ここでプロジェクトをおおまかに定義してみよう。
「プロジェクトとは、一定期間内において、所定の成果を達成するために暫定的に構成される業務遂行の仕組みであり、通常、様々な立場の多くの関係者の協働作業を必要とするものである。」
では、「プロジェクトプランニング」は何か?
プロジェクトプランニングとは、プロジェクト自体の意味や意義、位置付け、方向性、そしてゴールを決めるためのプロセスであり、「そもそもプロジェクトをやる必要性があるのか」という原点から徹底的に議論する段階、と言ってよいだろう。
なぜ、プロジェクトプランニングの段階が必要なのかと言うと、プロジェクトが立ち上がる時点で、そのプロジェクトの方向性があいまいな場合が多いからだ。
「リエンジニアリングをして全社業務改革を進めるプロジェクトを立ち上げよう」
「営業活動を抜本的に見直して、成約率を飛躍的に高めよう」
「CRMを導入して顧客主導型経営を実現しよう」
上記の例は、プロジェクトのスローガンとしては誠に結構である。
しかし、現代のプロジェクトは、ますます、何をもってプロジェクトのゴール(成果)とすべきかが決めにくいものが多い。言い換えると「理想の姿」が描きにくくなっているということだ。また問題が複雑に入り組んでおり、どこから取り組んでいいのかわからない、ということも頻繁に起きる。
だから漠然とプロジェクトを立ち上げるだけでなく、かっちりと「そもそも論」を討議する段階が必要なのだ。
プロジェクトプランニングは、プロジェクトに明確な存在意義を与える役割を持つ。そしてどのようにプロジェクトを進めるべきかの羅針盤となる。
プロジェクトプランニングの具体的な手法については次回に取り上げる。
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