Weekly Matsuoty 2001/07/03
土下座ブティック・赤フン夜市
 
 秋田県で7店舗ほどのファッションブティックを経営する2代目経営者のT氏の夢は、東京に、MBA(Master of Business Administration)ならぬ、MSA(Master of Service Administration:サービス学修士)の学校を開校することだと言う。

 主に、接客業に従事する人々を対象にサービス学を教えることで、各企業のサービス品質を高めることのできる、優れた人材を育成することが目的である。

 そんな彼が、長年やりたいのが、「土下座ブティック」だ。洋服主体の婦人用衣料品店なのだが、来店すると店員が床の上に座り、三つ指ついてお辞儀をするお店である。

 この考えをある時、社員に話したら、「なんでそこまでしなければいけないの!」と大反対にあったそうだ。しかし彼はあきらめない。

 そして、ついに一人だけ、ある社員を説得することに成功し、彼女は早速、土下座(というか三つ指)を始めたという。当然ながら、床は畳張りではない普通の床だから、ひざを守るためにプロテクターを付け、ロングスカートで隠している。

 私がT氏からこの話を聞いたのは1週間ほど前だが、もし彼女がまだ土下座をやめていないとすれば、既に20日ほど続けていることになる。今度あった時にあれからどうなったか聞かなくては・・・。

 土下座ブティックの是非はさておき、T氏は経営者として大きな夢を持ち、真剣にビジネスを考えている。それが強い信念を生み出し、人を動かす力になる。2代目にありがちな甘えのないT氏に大いに感銘を受けた次第。

 ところで、T氏は地元商店街の振興策にも斬新というか、奇抜なアイディアを出している。そのひとつが「赤フン夜市」。各店舗のダンナ衆がその日は赤ふんどし一枚となって、接客をするというものだ。こうすれば、ダンナ衆の裸を見たい女性が集まってくるだろうし、ダンナ衆も当日までたるみきったお腹をダイエットしたい考えるかも知れない、奥さんもスマートになった主人を見て喜ぶ・・・ということだそうだ。

 もし実現すれば、いかにも秋田らしいものになると思うが、果たしてT氏のアイディアが商店街の人々に受け入れられたのかどうか聞くのを忘れてしまった。

 ともあれ、T氏が必ず実行に移すであろう、MSAの学校がどんなものになるか、楽しみである。
 
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