Weekly Matsuoty 2001/08/19
ビジョンと現場のリンケージ1
 
 経営戦略、戦術、経営計画、事業計画と言った言葉はカッコいいが、もうひとつピンとこない。概念として話している分にはまあいいのだが、では具体的に紙に落とそうと思うと、なかなか書けない。

 書けないのは、戦略とか戦術の意味をよく理解していないからだよ、と言われたら返す言葉がないのだが、それ以前に戦略とか戦術といった表現があまりにも抽象的過ぎないかと思うのだ。

 電子機器の試作・設計・製造等を手掛ける‘(株)キョウデン’は、その点、実にわかりやすい言葉で計画を作っている。企業の大目的、すなわち「ビジョン」と現場の社員の一人一人の行動をうまく繋ぐことに成功していると思う。

 キョウデンでは、‘ビジョン’を明確化した後、‘カンパニーゴール’を決める。ビジョンとは遠大な目的であり、具体的な数値ではない。そこで、‘カンパニーゴール’として、具体的な売上・利益目標や顧客満足度目標等を定める。

 次は、そのカンパニーゴールに到達するための道筋、すなわち‘ロードマップ’を考える。どのような順番で事業を進め、構築していけばカンパニーゴールに到達できるのかを明確化する。これが実は‘戦略’に対応するものである。

 ロードマップで道筋が示されたら、具体的にどんな行動をやってゴール目指して進んでいくのかを決めることになる。それは‘タスクリスト’に落とされる。やるべき業務を洗い出す段階だ。

 そして、タスクリストがきちんと実行されているかどうかを判断するため、‘チェックリスト’で評価ポイント・評価基準をあらかじめ決めておく。

 まとめると、下記の流れで計画を策定していく。

‘ビジョン’
  ↓
‘カンパニーゴール’
  ↓
‘ロードマップ’
  ↓
‘タスクリスト’
  ↓
‘チェックリスト’

 さらにこの計画策定に付随するものとして、‘予算(財務計画)’‘人事考課’がある。

 (株)キョウデンは、PCメーカーのソーテックやPC安売店のフリーウェイを買収し、またソニーのAIBOのプリント基板を製作したことでも知られる成長企業だが、気取った言葉をつかわず、現場に近い発想で計画策定を行っている点が、成長を支えているひとつの要因ではないかと思う。
 
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