Weekly Matsuoty 2004/03/08
成功要因を見極め、実行に落とし込む
 
人材派遣業最大手、スタッフサービスの躍進 は注目に値する。1985年には100億円程度だ ったが、2004年3月期には約2400億円の売上 を見込んでいる。3年前、業界1位の座から から2位に転落させたパソナを現在は1000億 円あまり引き離し、単独トップの座を固めつ つある。

スタッフサービスと言えば、サラリーマンの 悲哀を感じさせるTVコマーシャルの印象が強 い。しかし見かけの軽さと対照的に、スタッ フサービスの経営・マーケティング戦略は、 きちんと成功要因を見極めた、地に足のつい たものである。勝って当然の戦略を実行して いるのである。

さて、スタッフサービスの派遣ビジネスに対 する基本認識は、次の通りである。(私の推 測も一部含まれている点、ご了承いただきた い。)

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1. 常に合い見積もり

どの企業も複数の派遣会社に声をかけている。 声をかけるかどうかは、その時の担当者の気 まぐれであることも多い。

2. 派遣社員の質は差別化の要因にならない

派遣社員は、複数の派遣会社に登録しており、 人材の流動性が高い。独自の能力を持つ派遣 社員を抱え込むことは難しい。

3. 派遣料金に加えて、対応スピードが重要

契約期間が長期化しているとは言え、やはり 派遣社員に対するニーズは、短期の業務や急 な欠員の補充といった急を要する場合が多く、 必ずしも派遣料金はそれほど重要ではない。

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上記のような基本認識を踏まえて、スタッフ サービスの基本戦略においては、「スピード 経営」を成功要因として考え、その実現に徹 底的に力を注いだ。行動レベルで実現してい るスタッフサービスの特徴は次の通りである。

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1. 営業マンは1日40社を回る(都内の場合)

これだけの機動力を保持していることにより、 クライアントからの呼び出しに対して25分以 内に行くことを可能にしている。 また、こまめに企業を回ることで、突然発生 する新規派遣案件を捕捉する確率を上げてい る。

2. 競合他社を意識した営業力配分

もし、競合他社がある特定の会社を月に2回 訪問していることがわかったら、スタッフ サービスの営業マンは月4回行く。もし競合 他社が4回だったら、8回行く。常に競合を上 回る営業攻勢をかける。 逆に競合の力が余り及んでいないクライアン トには労力をかけすぎない。

3. 引き合いを頂いたら、2時間以内に人選を 終了し、即日派遣社員を紹介。

どこよりも早く、適切な派遣社員を紹介する ことで受注確率を向上。

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こうしたスピード経営を支えているのが、ま ず、成果を出した営業マンに対する適切な処 遇である。(獲得件数に応じて報酬が決ま る)

また、大量の広告宣伝投下を通じて獲得した 業界最大規模の登録派遣社員数(迅速適切な 人選のためには登録数が多ければ多いほど良 い)である。

こうして、スタッフサービスは「スピード」 を強みとしてクライアントに食い込んだ結果、 派遣料金は業界水準よりも高めであり、相対 的に高い利益率を享受している。

「業界他社では、派遣社員を使うメリットを 打ち出す提案営業をやっているが、そんなも ので派遣社員の需要を増やせない」

こう語るのは、スタッフサービス取締役佐藤 治夫氏である。

業界の特性を正しく理解し、成功要因を見極 め、きちんと行動に落とし込めた企業は、必 然のごとく勝てるのである。スタッフサービ スは、その格好のビジネスケースの一つだろ う。

*本稿は、ITセレクト2.0、「西和彦 日本 のCIO」などの記事を参考にまとめました。
 
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