人類で一番最初に、「うに」や「なまこ」
を食べてみた人は、きっと人一倍好奇心が
高い人だったに違いない。
しばしば、人は、「なんだろう?」「なぜ
だろう?」「知りたい!」という純粋な好
奇心を満たすために無駄に思えること、無
謀なことを危険を冒してやってしまう。し
たがって、自分の生命保持のためには、好
奇心はあまりない方がいいかもしれない。
しかし、好奇心は、外部環境に対する新た
な知識を得ること、そして自分の生存の可
能性を高めるための知恵を獲得することに
多いに役立っているのである。
最初の話で言えば、食べ物が枯渇して飢え
そうな時、うにやなまこが食べられること
を知っている人の方が、当然ながら生き残
る確率は高い。(笑)
興味深いことに、「好奇心」に基づくよう
な行動は、人に限らずどんな生物にも生得
的に備わっていることが、行動心理学の実
験でも確認されている。(迷路に入れられ
たネズミがゴールを見つけるとえさにあり
つけるといった類の実験)
ネズミでさえ、食欲、性欲などの本能だけ
に動機づけられた行動だけでなく、一見無
目的の、いわば「遊び」的な行動を通じて、
あらかじめ外部環境に対する情報・知識を
得ている。
周囲の変化を敏感にキャッチすること、そ
して、変化に適応するための多様な選択肢
を体験や学びを通じて持とうとすることの
原動力が「好奇心」である。
このことは個人だけでなく、企業にも当て
はまることを再認識させられたのは、マネ
ックス証券CEOの松本大氏だった。
松本氏は、ベンチャーの起業、また起業後、
事業を継続し、生き残るために大事なこと
はいくつかあるけれども、最も経営(者)
にとって重要なこと、必要なことは「好奇
心」である、との確信を持っているという。
「好奇心」があるからこそ、顧客や従業員
のことをより知りたい、理解したいと思い、
また艱難辛苦の事業立ち上げを乗り切り、
継続する意欲がでるというのである。
生き残りに最も大切なことは「好奇心」で
あるという主張に、私も全面的に賛成した
い。
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