Weekly Matsuoty 2005/03/07
真の企業再生のための3つの切り口
 
行き詰まりの打破や、新たな成長を目指し て、企業再生に取り組む際、第一に着手さ れることが多いのは、「リストラクチャリ ング」である。

「リストラクチャンリング」とは、

“Re-structuring”

であり、「構造」の見直しを意味する。

すなわち、企業組織(体制)を見直し、部 門を統合したりすることである。これは、 概ね人減らしを通じたコスト削減を目的と したものであり、短期的な業績改善にはプ ラスだったが、優秀人材の流出により、長 期的には競争力の低下をもたらすケースも 多く見られた。

そこで、企業再生の新たな切り口(手法) として提案されたのが、「リエンジニアリ ング」である。

「リエンジニアリング」とは、

“Re-engineering”

であり、「機能」の見直しを意味する。

「リエンジニアリング」では、様々な業務 機能をゼロベースで見直し、顧客満足実現 のために最適な業務へと組み立て直す。こ れは、業務フローにおけるボトルネックや ムダを解消するものであった。

しかし、「リストラクチャリング」にしろ 「リエンジニアリング」にしろ、ある限界 があった。それは、‘HOW’の改善に止 まる点である。

例えば、音楽を聴くための媒体としてのレ コードがCDに移行しつつあった時期に、 レコード針メーカーが、いくら組織構造や 業務機能を見直したところで徒労に終わる ことを考えていただければおわかりだろう。

そこで、企業再生のためにはもうひとつの 視点が必要である。それは、「リオリエン テーション」と呼ぶことができる。

「リオリエンテーション」とは、

“Re-orientation”

であり、「進むべき方向」の見直しを意味 する。「リストラクチャリング」「リエン ジニアリング」が、

“我々はどうやって進むべきか”

を問うたのに対して、「リオリエンテーシ ョン」は、

“我々は、どの方向に向かうべきか”

を問う。

これは、事業の意味を問うことである。 我々は、なんのために事業を行っているの か、それにどんな意味があるのか、価値が あるのか、逆に言えば、どんなことに意味 を見出すのかを突き詰めていく。

一言で言えば、事業の原点に立ち戻ること である。

そして、真の企業再生のためには、どの切 り口から入ったとしても、最終的には

「リストラクチャリング」
「リエンジニアンリング」
「リオリエンテーション」

の3つの切り口から企業再生に取り組む必 要がある。

産業再生機構入りしたカネボウやダイエー で、この3つの切り口がどのように実行さ れていくのか、注意深く成り行きを観察し てみたい。

*上記内容は、

「構想学」(妹尾堅一郎東京大学教授)

の講義をベースにしたものです。
「リオリエンテーション」のコンセプトは 妹尾教授によるもの。
 
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