日本のEコマースも、どれだけOne-to-Oneマーケティングを実践できているかが、成否を分ける鍵となってきたようだ。
このOne-to-Oneマーケティングの中核は、レコメンデーションシステム(=仕組み)である。なぜなら、優れたレコメンデーションシステムはダイレクトに売上・利益増をもたらしてくれるからである。
しかしながら現実を見ると、残念ながら情報技術がからむ場合に、過去何度も繰り返されてきた現象が起きている。すなわち、ブロードビジョンのようなレコメンデーションシステムを入れれば、たちまちレコメンデーションの実践が可能になるという安易な発想に基づく現象だ。
ちょっと考えてみればわかることだが、レコメンデーションとは顧客と商品とのマッチングを最適化するものであり、そのためには、各社異なる商品ライン、顧客層、顧客対応ポリシーに基づく独自のマッチングロジックがまず必要なのである。
マッチングロジックは、リアルな店舗ではマニュアルとして明文化されている部分もあるが、大抵は、販売員の頭の中に入っている。販売員は、自らの努力と経験で、レコメンデーションのコツをマスターしている。
WEBサイトでのレコメンデーションも、ロジックを明確化すると同時に、学習によって改善していけるような仕組みを内在させることが必要だ。
さて、マッチングロジックを組むにあたって意識しなければならない基本線は下記3点である。
1 どんな商品を勧めるのがいいのか?
2 どのような勧め方がいいのか?
3 どんなタイミングで勧めたらいいのか?
レコメンデーションとは、顧客と商品のマッチングの最適化であると前述したが、実際にロジックを組むに当たっては、2と3のポイントを忘れてはいけない。顧客によって、ソフトに売り込まれるのが好きな人、やや強引な方が購入しやすい人、など、売り込み方によって購入度合いが違ってくるのは、リアル店舗では当たり前に観察されていることである。また、たとえ買う意思がある顧客であっても、売り込むタイミングを外してしまうと「気分がのらない」という理由で断られることになる。
WEBサイト上で取得できる顧客情報は、実は極めて限定されている。販売員が5感をフルに駆使し、目の前の顧客の言動・振る舞いから、顧客心理をある程度掴むことのできるリアル店舗との大きな違いである。
したがって、WEBサイト上でのレコメンデーションでは、極めて精緻なプランニングに基づく情報収集と分析システムもまた不可欠となる。
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