Weekly Matsuoty 2001/01/16
ソフトシステムズ方法論:CATWOE分析
 
 ソフトシステムズ方法論は、プロジェクトをどう設計するか、という「プロジェクト・プランニング」の有効なツールであることは、53号で「XYZ公式」という基本定義を説明した際に述べた。

 「XYZ公式」とは、プロジェクトを

  X:具体的にどんな活動なのか(WHAT)
  Y:どうやってそのプロジェクトをやるのか(HOW)
  Z:なぜそのプロジェクトをやるのか(WHY)

 の3点で定義したものであり、53号ではこんな例を挙げた。

「全社CRM導入プロジェクト」の場合、

  Z:顧客生涯価値を最大化するために、
  Y:各種コミュニケーションツールを活用して
  X:顧客との統合化された継続的なコミュニケーションを行う活動

*わかりやすいよう、XYZの順番を逆にしている。

・・・

 さて、上記のように表現された基本定義をさらに吟味し、検討を加える方法として「CATWOE分析」がある。(これは、キャトウ分析、語呂合わせで、猫が、ウーと鳴く、と覚えて欲しい)

それぞれの意味と検討内容は次の通り。

C:Customers
  <プロジェクトによって影響を受ける人は誰か、いわゆる「顧客」だけとは限らない>

A:Actors
  <プロジェクトを遂行する人は誰か>

T:Transformation Process
  <プロジェクトは、何をどのように変換するのか>

W:World View
  <プロジェクト定義の背景にある世界観はどんなものか、例えばXをやることは、本当にZを達成することに役立つのか>

O:Owners
  <このプロジェクトの主体、プロジェクトを中止できるのは誰か>

E:Environmental Constraints
  <自分ではコントロールできないが、プロジェクトに重要な影響を与える外的環境要因は何か>

・・・

では、「全社CRM導入プロジェクト」の基本定義を早速、この、「猫がウーと鳴く」分析手法で吟味してみよう。

C:このプロジェクトで影響を受けるのは、この場合文字通り、「顧客」だが、おそらく小売店等も含まれるだろう・・・。

A:遂行者は、この会社の社員である。

T:この活動(プロセス)は、「非顧客」を「ロイヤル顧客」に変換するプロセスである。

W:顧客と、統合された継続的なコミュニケーションは顧客生涯価値を高めることに寄与するという前提がある。(本当にそうか・・・)統合された継続的なコミュニケーションとはどんなものなのか検討する必要がある・・・。

O:このプロジェクトのオーナーは、この会社の最終決定者である、社長、または役員である。

E:競合他社がどんなCRM戦略を打ち出してくるか、こちらがそれを阻止したりはできないが、常にウオッチしている必要がある・・・。

 どうだろうか?

 このようにして、プロジェクト全体の枠組みを決め、妥当性を吟味し、漏れのない、効果的・効率的な設計を進めていくのである。

 ソフトシステムズ方法論では、プロジェクトを具体的な活動項目に落とす方法など、他にもいろいろなツールがあるのだが、まずは、XYZ公式とCATWOE分析を駆使し、プロジェクトメンバーで議論することが、プロジェクト成功の第一歩である。
 
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