橘川幸夫氏は、著書「21世紀企画書」において次のように述べている。
“広告代理店が今後も発展しつつ生き延びる道はひとつしかありません。ヤマト運輸がやったように、企業の広告代理店という立場から大きく転換して、「個人のための広告代理店」という業態を目指すことです。ワン・トゥ・ワン・マーケティングとは、旧来の社会構造の範囲や、マーケティング理論の流れの中で考えていてもまったく意味を持ちません。広告代理店やマーケッターの立場が「企業のためのもの」から、「生活者のためのもの」へと根本的にチェンジする以外にないのです”
この、「生活者のためのもの」へと、広告代理店、マーケッター、またSIPS(も含まれると私は思う)が生まれ変わる鍵を握るのが、「アカウント・プランナー」である。
英国で生まれ、米国でも過半数の広告代理店が導入している「アカウント・プランナー」の役割は、グッビー・シルバースタイン&パートナーズのジョン・スティール副会長の言葉を借りればこうだ。
“営業は、市場シェアに気をもんで、クリエイティブは、理想のために戦い、マーケティングの人間は、社会経済階層を説くだろう。でもアカウント・プランナーは消費者を代弁するんだ。”(宣伝会議2001/6、「2005年の広告会社」から)
まさに、アカウント・プランナーが今後の広告代理店の発展に重要な役割を果たすことがおわかりだろう。
アカウント・プランナーは、消費者の代弁者として広告会社の他の職能を統合する立場にある。言い換えると、AE(アカウント・エグゼクティブ)、CD(クリエイティブ・ディレクター)、MD(マーケティング・ディレクター)といった個性の強い人々の調整役である。
したがって、アカウント・プランナーの仕事は多岐にわたる。クリエイティブ・ブリーフの作成から、マーケティング戦略の立案・作成、営業的交渉まで、広告制作全般に関わらなければならない、タフな仕事である。
よく考えると、アカウント・プランナーは、「広告」というプロジェクトの「マネージャー」である。WEB制作ということに限定すれば、戦略、デザイン、技術を特定の目的に向けて統合するマネージャーである。
当然ながら、アカウント・プランナーの役割がこなせる人材は、世界的にも極度に不足している。もし、あなたが、広告業界やSIPS業界近辺の仕事に携わっているのなら、ぜひ「アカウント・プランナー」を目指すべきだ。労働市場での価値が高い、つまり高い収入が見込めるだけでなく、これほど楽しい仕事はないのではないだろうか・・・。
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