モジュールとは組み合わされて全体としては一つの製品(システム)として機能するが、個々のモジュールは、それぞれ個別に設計・製造されるものを言う。
具体例として一番わかりやすいのは、パソコンだ。マザーボード、ハードディスク、FD/CD装置、OS、アプリケーションといったそれぞれ独立した製品がある統一されたインターフェイス(API)によって結合され、一体として動作するコンピュータとなる。
モジュール化のメリットは、複雑な製品(システム)の構築が可能になること、各モジュールの開発を並行して進めることができるため技術革新のスピードが速くなること、様々な技術のバリエーションが生まれること、多くの企業の参入によって価格競争が生まれ、コストが低下すること、等がある。
今さら指摘するまでもないが、ほぼすべての部品を自社で内製化したアップル・コンピュータより、モジュール化が進んだIBM(AT互換)/MS系パソコンが市場のマジョリティを勝ち取った理由は、上記のようなメリットのおかげである。
モジュール化はSCM(サプライチェーンマネジメント)の視点からも有効である。IBM、NEC、デル、コンパック、ソニー・・・どんなメーカーのものであれ、AT互換機である限りは、筐体デザインを除き、中味は標準化されたモジュールで構成されている。したがって、それぞれのモジュールを製造するメーカーにとっては、個々のメーカー毎の在庫ではなく、業界全体としての在庫調整が可能な分、在庫管理が容易となり、在庫コストも低減できることになるからだ。
一方、標準化されたモジュールを買ってきて組み合わせるメーカーは、差別化のポイントとして、外見(デザイン)、ブランドイメージ、価格、サービスといった、製品が提供する本質的な価値とは別のところに置かなければならなくなる。
モジュール化はあらゆる製品に有効ではないものの、低価格化の要求、資源の有効利用といった点からも、多くの業界で進展していくものと思われる。
そうなった場合に、安易な価格訴求以外の競争優位をどこに置くのかを各メーカーは明確にする必要があるだろう。
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