Weekly Matsuoty 2002/04/18
タスク・ゲティング・パーソン
 
 元慶応大学商学部教授、村田昭治氏の話を聞いた。村田先生の話は、皆をわくわくさせてくれる。深い内容だけど楽しい。わかりやすい。まさに「心ときめく」マーケティングを実践されている!(先生の著書に「心ときめくマーケティング」というのがある)

 さて、お話の中に、私にとっては初耳の、とても引っ掛かる言葉があった。村田先生は、ハーバードビジネススクールに留学されたのだが、そこでは、営業担当者のことを「セールスパーソン」とは呼ばず、「タスク・ゲティング・パーソン」と呼ぶ、と言われたことだ。

「タスク・ゲティング・パーソン」

 文字通り訳せば、顧客から、課題(タスク)をもらってくる(ゲティング)人(パーソン)である。

 ハーバードビジネススクールで言われているかどうかはどうでも良い。ただ、営業担当者の本質をこれほど的確に描写している言葉は他にはないのではないだろうかと感じたのだ。

 昨今、「提案営業」とか「ソリューションセリング」という営業スタイルがもてはやされている。営業の役割は、商品を売ることではなく、ソリューションを売ることである。なぜなら、顧客が求めているのは、ソリューション(課題の解決策)であって、商品自体ではないからだ。

 確かに間違ってはいない。しかし、現実を見ると、お仕着せでワンパターンなソリューションを見映えだけが良くて中味の薄い提案書に仕立て上げ、もっともらしく顧客に説明することを提案営業だと考えている営業が多いのではないか?

 大量生産の消費財ならともかく、サービスにおいては、顧客ひとりひとりに最適な個別対応が最高の顧客価値を生み出す。そのためにまず営業がやらなければならないことは、顧客の課題を発見し、もらってくることだ。顧客の課題を適切に把握していて初めて、その課題に対する最適な解決策=ソリューションを提案することができる。

 「課題」をもらうことから営業は始まる。
 
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