私は某外資系生命保険に入っている。5-6年
ほど前に、大学のゼミの先輩がライフ・プラ
ンナー(要は営業)となったことから、日系
の保険会社から切り替えたものだ。
保険内容には特に不満はない。しかし、く
だんのライフ・プランナー氏とのコミュニ
ケーションは、印刷された年賀状だけ。し
かも一言の手書きのコメントさえなかった。
そして、1年ほど前、別の事業立ち上げで独
立の案内をもらった時、彼の取扱商品の注文
書も同封されていたが、私はためらいもなく
ゴミ箱に捨てた。もし、年賀状に一言でも肉
筆のコメントが書かれていれば、おそらく私
は独立祝いに商品を購入したと思う。(せい
ぜい数千円の品)
彼がライフ・プランナーを辞めた理由は聞い
ていないが、おそらく限界を感じたのだと推
測している。彼の既存客フォローのやり方で
はまず紹介やクチコミを得ることができない
のは明らかであり、毎年毎年、新規獲得に苦
労し続けるのに疲れたのだろう・・・
さて、いまさら言うまでもなく、CRMの基本
的な考え方は、獲得した顧客をきっちりフォ
ローすることによって、顧客生涯価値におけ
るシェアを高めようとすることである。ただ、
これをお題目だけではなく、現場に徹底させ
るのは簡単ではない。逆に、実行を確実にで
きるところは、持続的な成長を続けることが
可能だ。
住宅リフォーム会社「ホームテック」は、設
立98年、まだ5年の若い会社だが、成長率は
毎年200-300%、年商は直近で44億円に達す
る。
彼らの強みは徹底した既存客フォローだ。
リフォーム後の10年間保証を口先だけでなく、
半年毎の定期点検によって徹底している。
大事な点は、顧客宅を半年に一回訪問し、点
検した後に顧客から点検完了の確認印をもら
うシートがあることだ。そのシートには、20
個の印鑑を押す場所がある。これで、10年間
定期点検を確実に実行する仕組みになってい
る。また、担当者は、並行して毎月1回、既存
客の家に立ち寄ることを仕組み化している。
これは、営業ではなく、単なる挨拶回りであ
る。上記以外にも、ホームテックは、様々な
既存客向けのイベントやサービスを実施して
いる。
こうした「釣った魚にとことんエサをあげる」
ことにより、ホームテックの売上げの実に75
%が、リピートと紹介によるものだと言う。
立ち上げ当初は顧客フォローのためのコスト
がかさみ、大変だったかも知れないが、今は、
非効率な新規開拓営業をほとんどやることも
なく、既存客へのサービスと気楽な与太話を
していれば、仕事が勝手にやってくる、ほぼ
そんな状況になっていると思われる。
「経営は実行」(が大事)という本があるが
やはり「CRMも実行」である。
*ホームテックの事例は、「小さな会社・
儲けのルール」の著者、栢野克己氏のお話
を参考にさせていただきました。
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