あなたは、銀行口座を持っていますか?
「いいえ」と答える人はほとんどいないはずだ。おそらく、社会人で銀行口座を持っていない人は、夫の口座で家計を一元管理している専業主婦くらいだろう。(とかいって、隠し口座を持っているかもしれないが・・・)
米国では銀行口座を開設していない人が3割弱に上る。支払い手段として、小切手が普及していることも理由の一つだが、米国の銀行では「口座管理手数料」を取ることも影響しているようだ。
日本では、「シティバンク銀行」が採用している「口座管理手数料」は、銀行口座に一定額の残高がない場合、毎月手数料を支払わなければならない。したがって、収入が少なく、手数料を支払うことができない(払いたくない)低所得者層はあえて口座を開設しないのである。
「口座管理手数料」は、入口に設置されたハードルであり、はっきり言ってしまえば、金の出入りが小さく「儲からない」潜在顧客に門前払いをくらわせている。
ところで、企業が求めているロイヤルティ顧客とは、特定のブランド(商品)に対して愛着心が高く、他のブランドに浮気することがないだけでなく、結果としてそのブランドにお金を注ぎ込んでくれる、「儲かる」顧客である。
一方、ブランドに対する愛着心が高いかどうかはともかく、実際には当該ブランドをほとんど購入しなかったり、安売りの時しか購入しないような顧客は、「儲からない」顧客であり、つきあえばつきあうほど損をする顧客である。そこで、このような顧客を「門前払い」、あるいは「切り捨てる」方法を考える必要性が出てくる。
CRM(Customer Relationship Management)では、まず顧客価値(要は儲かる客かどうか)を測定して、顧客価値の高さに応じた対応(サービス)を提供することが基本原則である。
同じお金を使うのなら、儲かる顧客に重点投資しよう、ということである。これは「ロイヤルティ戦略」として展開される。同様に、儲からない潜在顧客を門前払いすること、あるいは既存顧客のうち、損が発生している顧客を切り捨てること、は「ディスロイヤルティ戦略」と呼べるだろう。
「門前払い」「切り捨て」といった言葉を顧客に対して使うのは倫理的な抵抗を感じるからか、あまり表立って語られることは少ない。しかし限られたマーケティング予算からのリターンを最大化するためには、「ロイヤルティ戦略」と「ディスロイヤルティ戦略」をセットにして考えていくことが今後当たり前になっていくだろう。
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